美と黄金比の関係
ご存じの方も多いと思います。
この黄金比を歯科の審美基準に当てはめて、本当に黄金比は存在するのかを確認してみましょう。
黄金比とは
黄金比といえば、オウムガイや葉脈など自然界で見られる造形美と、それを応用した人工物 iPhoneやアップルマーク・名刺サイズやクレジットカードサイズ・タバコ外箱のサイズに至るまで、多くの商品やイメージデザインに応用されている 魅力的で安心感を与えるサイズ比率です。
そしてダヴィンチの人体図やモナリザも、美しき黄金比「1:1.618……」を見つけることができるといわれています。その他にも・・・
- ミロのビーナス
- ピラミッド
- パリの凱旋門
- サグラダファミリア大聖堂
など、歴史的な建造物でこの黄金比が活用されていることがわかります。
黄金比の歴史は古く、古代ギリシャの数学者「エウドクソス」(紀元前408年頃~紀元前355年頃)がこの黄金比を発見し、その後、パルテノン神殿の建設にて総監督を務めたとされる彫刻家「ペイディアス」が初めてパルテノン神殿建設に黄金比を用いたと言われています。
歯の大きさと形
人を魅了する黄金比率は、歯の審美的な治療にも基準として用いられます。
顔のバランスを整える際の基準に用いられる要素は4つあるといわれていて、
- 垂直的位置関係
- シンメトリー
- 唇のバランス
- 歯の大きさと見え方
この中で、「垂直的位置関係」と「歯の大きさと見え方」に黄金比が応用されています。
垂直的位置関係のバランス
レオナルド・ダ・ビンチのモナリザからもわかるように、理想的な顔は、顔を正面から見て、髪の生え際から眉の上縁まで、眉の上縁から鼻尖部まで、鼻尖部からあごの下部までの距離のバランスの比率 1:1:1が審美的にバランスが取れた位置に目と鼻と口が配置されていることを示します。。
個人差はありますが、この顔を3分割した中で、一番重要パートは、鼻尖部からあごの下部までの距離(下顔面1/3)とされています。
下顔面は、口唇の状態や歯の位置、かみ合わせにより決定されます。
特に高齢になり、歯を失ったりすると、上下の歯で噛み合わされることでキープしていた下顔面1/3の高さが失われることで、1:1:1のバランスがく崩れます。多くの場合 下顔面1/3の高さを失うことで、顔は老けたイメージになりやすくなるといわれます。
また鼻の下から、上唇下部までの距離と上唇下部からあごの先端までの距離の比率が、1:2がバランスが良糸さらています。
咬み合わせが悪く、受け口などになると上唇下部から顎先までの長さが長くなり、1:2の審美的基準の範囲から外れるため、全体のバランスがおかしくなるのです。
歯の大きさと見え方
笑顔と白い歯はセットです。審美的な口元の要素で、会話の中で、また、笑顔になった際にチラリ見える白い歯は、とても魅力的に感じます。色だけでなく歯の大きさや形も、顔全体のバランスに強く影響を及ぼします。
日本人の平均的な歯の大きさは、上顎(上の歯)前歯の横幅(専門的には中切歯幅径)が男性で約8.6mm 女性で8.25mmとのデータがあります、これはもちろん個人差がありますが、歯間幅径が9.0mmを超えると多くの方が、自身の歯を大きく感じるようです。
この前歯(中切歯)の平均的な縦横比は 1:0.8とされます。自分の歯がこの数値の範囲内であれば大きさや縦横の比率は標準的で基準内です。
上顎前歯の審美的基準で大切なことのもう一つは、「歯の見え方」です。
中切歯1本の大きさは基準値以内でも、その隣の前歯(側切歯)との幅径のバランスが審美では重要とされています。この前歯2本「中切歯」と「側切歯」の幅径に人を魅了するバランスのゴールデンプロポーション(黄金比)が存在するのです。
上顎前歯のゴールデンプロポーションは
中切歯 1.618 : 1 側切歯
その他の口元の審美要素
さらに、唇の形・左右のバランスや顔全体のシンメトリーも審美的なチェックポイントとして重要度が高いのです。
今回は黄金比をベースに審美的な顔のバランスについて記載してきましたが、4要素が調和して口元の審美基準が満たされることがご理解いただけたと思います。
口元の審美要素をベースに、一度 鏡の前でチェックしてみてください。
口元のバランスが、あなたの顔のイメージを大きく変化させる可能性があることにお気づきいただけると思います。
最近は、コロナ禍でマスクが外すことができない世の中になっていますが、マスクを外しても顔のバランスが崩れない口元の審美に興味を持ってみることもいいかもしれません。