象牙質とは

歯を構成しているエナメル質と象牙質を知ることは、歯を守る知識を得ることを意味します。
エナメル質が歯冠部の歯をカバーしてプロテクトしていることで安心して生活が営めるのですが、年令を重ねると咬み合わせによる摩耗や食生活の中での酸によりエナメル質の量はどんどん失われていくことで、歯を失うリスクが高まるということもエナメル質のブログでご理解いただけたと思います。

エナメル質とは https://smile-steps.com/archives/551

では、歯を構成するもう一つ、象牙質(デンチン)とはどのようなものなのか理解を深めることで、さらなる予防の意識が高まる可能性があるため、象牙質について基礎的な知識をお伝えしたいと思います。

象牙質の構成

象牙質はハイドロキシアパタイトが70%無機質と30%のコラーゲン線維などの有機質 10%の水分で構成されています。

構造的には直径が1μから2μ程度の象牙細管と呼ばれる細かな管が歯髄(神経)とつながり、象牙細管の中にはタンパク質を含んだ液(象牙細管内液)で満たされています。この象牙細管内液が細管内を移動して歯髄の神経線維が刺激されることで疼痛が起こるのです。

したがって、何らかの理由で象牙質が口腔内で剥き出しになるなると、象牙細管内液が動きやすくなることで刺激を完治しやすくなり、一般的に言われる「知覚過敏」になります。

このように、象牙質は歯髄に直結したポジションに存在しているのです。

象牙質の物性

象牙質は、モース硬度で5から6の硬度に位置し、骨と同程度の強度です。緻密なで丈夫な物性といえます。これはエナメル質のモース硬度6から7と比較すると一段回程度低く、構成成分に有機質を20%程度含まれることが影響しています。そのため、弾力性と柔軟性も有するため、咬合な中で受ける力を干渉する役割もはたしているのです。すなわち、歯が破折することやヒビ割れが入ることを阻止しているいうことができるのです。

象牙質はエナメル質と比較して柔らかく、口腔内の酸にも抵抗が弱いため、虫歯が進行するスピードが飛躍的に早い傾向があります。虫歯の進行状況は、エナメル質は感染範囲が小さく 進行スピードも遅いのですが、エナメル質を突破されると象牙質内で一気に進んでしまいます。そのため、象牙質内部で隠れて進行している虫歯(カリエス)のことを、「Hidden Caries」と呼びます。

また、象牙質がエナメル質にプロテクトされないエリアは何らかの処置を歯科医院で受ける必要があります。

象牙質がエナメル質にプロテクトされないエリアは、

  • 年齢とともに歯茎が退縮してしまった歯頚部
  • 摩耗によりエナメル質を失った咬合面

などが代表的です。

象牙質の色調

象牙質は基本的には乳白色ですが、肌や髪の色と同じように個人差があります。
生まれつき白い人もいれば、黄色味を帯びた人もいます。
名前の通り象牙色で、黄色みの色調は黄色と赤色がベースとなっています。
そして、象牙質の色は、加齢と共に濃くなる傾向があります。

象牙質の再生

象牙質は生活の中で受けた刺激などや加齢により、必要に応じて、歯根形成後(歯が完成したあと)でも追加で象牙質が再生されます。これを第二象牙質(生理的)・第二象牙質(病的)に分類され、病的第二象牙質を第三象牙質と呼びます。

生理的第二象牙質が再生される理由は生理的理由で、主に髄腔壁全面(天蓋、根管口、髄床底)に形成されます。この第二象牙質が形成されることで、歯髄は年齢とともに小さく縮小されていくのです。

これに対し、第三象牙質(病的第二象牙質)は、日常生活の中で受けた刺激に対して追加で形成される象牙質をさします。

第三象牙質が形成される理由

  • 咬耗・摩耗
  • う蝕の進行
  • 歯の欠損による残存歯がへの負担に応じて

上記理由により、第三象牙質を「補綴象牙質」「修復象牙質」と呼ぶこともあります。

まとめ

象牙質は歯冠部をエナメル質 歯根部をセメント質や歯肉でカバーされている部位に存在する、歯の主体をなす構成要素です。

歯に感じる刺激を歯髄(神経)に伝え、強大な咬合力を緩衝するというような、なくてはならない特性を持ち、人生の中で歯を失わないように働き続ける重要な臓器といえます。

歯牙は、エナメル質と象牙質の特性でカバーし合いながら1本の歯牙として機能をはたしているのです。

そして、その歯牙は白く半透明で美しく、その人のイメージをアップさせてくれる重要なパーツということがおわかりいただけたと思います。

今まで以上に、歯を大切にする気持ちを持っていただけたら幸いです。

タイトルとURLをコピーしました