口の中には、常在菌といって体の中に存在する、病原性のない菌があります。赤ちゃんはこの常在菌がまだ定まっていないため、その状態でむし歯菌に感染してしまうとむし歯菌が口の中の常在菌となり、むし歯になりやすくなってしまうのです。個人差で虫歯になりにくい人 なりやすい人がいますが、この大きな理由は3歳頃までにこの虫歯菌に感染しているか否かによって左右されるのです。
3歳を過ぎると、大人からは感染しにくくなるといわれています。
虫歯の原因 ミュータンス菌
生まれてすぐの赤ちゃんの口の中には、むし歯菌・ミュータンス菌を持っていません。
ミュータンス菌とはヒトの口腔内を好んで生息する菌で、歯の表面の歯垢の中に多く見られます。生まれたての赤ちゃんは歯が生えていないため、感染しても口腔内に留まらないとされています。
歯が生えはじめる頃から親御さんは以下のことに注意するべきとされています。
- 食器の共有を避ける
- キスしない
- 噛み与えない
- 熱い食事を息で冷まさない
- 親御さんの口腔内の環境を整える
以上のことを、歯が生え始めてから3歳過ぎまで気をつけてあげましょう。
長いスパンでお子さんに感謝されますよ。
ミュータンス菌は2歳頃から増え始め、歯が永久歯へと生え変わる12歳頃までを検出率のピークに口腔内で増殖するのです。乳歯は以前のブログ記事にも記載しましたが、エナメル質と象牙質が永久歯の厚みの半分のため、ミュータンス菌の出す酸に簡単に溶かされてしまうのです。また、生えたばかりの永久歯のエナメル質も十分な硬さがないことがあり、ミュータンス菌の酸に抵抗が弱い傾向が見られます。
ミュータンス菌は酸を出す、そしてその酸が歯を溶かすと書いてきましたが、その原理について少しお話しましょう。
最初にミュータンス菌は、歯の表面に留まりやすくするために、口の中の糖を使って「グルカン」という物質を作り出します。このグルカンは、ネバネバで水に溶けない性質をもった物質です。このネバネバのミュータンス菌の基地が歯垢であり、バイオフィルムと呼ばれます。
(グルカンはブドウ糖が長く結合した多糖です。)
ミュータンス菌は、グルカンの中で 安全に 長期的に 活動します。口の中に砂糖が供給されると、ミュータンス菌は体の中に多糖として糖を蓄え、周りに糖がなくなると、体の中の糖を分解して酸を作ります。
このように酸を出し続けられると、歯は溶かされて 虫歯はどんどん拡大するのです。
そのため、毎日の歯磨きにより、歯垢除去が重要になってくるのです。
毎日の口腔ケア(歯磨き)
歯垢除去を怠ると、どんどんミュータンス菌が活動して酸を生成、歯を溶かしています。
だから、食後の歯磨きは小さい頃から習慣化させてあげてください。
歯磨きのやり方や仕上げ磨きについては、今後 ブログの中で書いていきたいと思います。
予備知識で、水で溶けにくくなった多糖のグルカンは、結合を分解する酵素「デキストラナーゼ」を使用すると落ちやすくなります。このデキストラナーゼは、一部のハミガキ粉(歯磨剤)や洗口液にも配合されていますので、商品の成分など確認してみてください。
虫歯になりやすい要因 まとめ
今回は、歯を直接 酸によって溶かす虫歯菌(ミュータンス菌)とは何かについて特性も含め記載してきました。
ただ、虫歯になる要素としては、この直接的な原因だけでなく、環境や習慣が他にもいくつかあります。
- 糖の摂取回数(食事の回数)
- 糖の摂取時間(1回に取るときの時間)
- 間食の取り方
- 歯並び
- 唾液の量
- 歯磨きの状況(フロス・歯間ブラシの使用)
- 定期的な歯科医院でのメインテナンス
- 虫歯の治療歴とその予後
これらのことをしっかり理解して、虫歯のない快適で笑顔が耐えない生活を目指しましょう。