今回は、歯を構成する層構成のエナメル質について理解できるように、まとめてみたいと思います。
エナメル質は歯の歯冠と呼ばれる、歯肉より上の見えている部分をの一番外側を覆っている歯質のことです。ちなみに歯肉・歯槽骨に埋まっている歯の部位を歯根と呼びます。
エナメル質は人体の中で一番硬度があり、大変 硬い性質を持っています。この硬い成分で歯をいろんな
ものから守ってくれているのです。
歯医者さんに行って治療の際に、歯を削る場合がありますが、この歯を外側で守っているエナメル質を含む歯質を削っていることになりますが、エナメル質は大規模な損失や虫歯による欠損・破折などは再生しません。もちろん歯を削った部位のエナメル質は再生しないため、治療を行う歯科医師の先生に本当に削ることが必要なのかどうか慎重に確認する必要があるのです。
エナメル質の構成
エナメル質とは、歯の表面(歯冠部)を覆う厚さは2ミリから3ミリ層構成を成す部位をいいます。
歯頸部に近づくほど歯のエナメル質は薄くなります。
エナメル質は、97パーセントは燐酸カルシウムの結晶体「ハイドロキシアパタイト」と3%の有機質と水で構成されています。
エナメル質は、無構造の無機質から成る表層エナメル質(表層から20~30μm)と、小柱構造を有し多少の有機成分を含む表層下エナメル質から成っています。
エナメル小柱は、
表面はつるっとしていますが、顕微鏡レベルで観察すると、歯のエナメル質は「エナメル小柱」という、細い柱のような組織がびっしり並んで作られています。歯牙の部位(前歯・小臼歯・大臼歯)にもよりますが、1本の歯牙で、およそ800万本~1,200万本のエナメル小柱があると言われます。
エナメル質は大変硬く、人の体の中で一番硬い組織です。硬さの段階を1から10までに分類する、モース硬度というものがありますが、歯のエナメル質はモース硬度で6から7の硬度に該当します。
人の骨のモース硬度は4から5と言われているので、歯のエナメル質は、人の骨よりも硬いです。
エナメル質は硬くて頑丈な組織で、歯自体を色々なものから守る役割だあることに違いはないのですが、口の中の環境は厳しく、常に酸にさらされています。
温かいものや冷たいものも食事の度に摂られる為変化の連続です。さらに、食べ物を噛み締めたり、ストレスにより寝ている時も歯軋りがあるなど、大きな力(テンション)が常にかかっていることを想像していただくと。いくら丈夫で硬いエナメル質でも、すり減ったり・割れたり・酸により溶かされて穴が開いたりするのです。
口腔内の環境の変化や歯が溶けて虫歯になっていく工程については、過去のブログを参考にしてください。
食習慣 https://smile-steps.com/archives/195
乳歯と虫歯 https://smile-steps.com/archives/176
エナメル質の色
エナメル質は、無色で半透明性を持った色調をもっています。
エナメル質の下部にある象牙質が黄色みと赤みを有した色調のため、半透明のエナメル質に色調がぼかされて歯牙の色として、私たちは歯の色を認識しているのです。
欧米の人の歯を見て、白く感じるのは、アジア人種よりも歯の大きさが大きく、それに伴いエナメル質も厚みがあるため、象牙質の色がエナメル質の中を通過しにくいことが理由で、白く綺麗な歯であると感じていることも理由の一つです。
歯の色が変色する理由 https://smile-steps.com/archives/440
上記ブログには、年齢を重ねる中でエナメル質の厚みが薄くなることによる色調変化について記載していますので、よろしければ参考にしてください。
エナメル質の再石灰化
エナメル質が酸で溶けてしまうことを脱灰といいます。
脱灰をしても、歯がすぐに虫歯になるというわけではありません。
歯のエナメル質が脱灰することは日常の中で、食べ物を摂取する度に繰り返されているため珍しいことではなく、日常的に歯牙のエナメル質表面では起こっていることなのです。
簡単に虫歯にならないのは、歯のエナメル質を回復・修復する再石灰化という作用が自然に働いているからです。
再石灰化は、唾液に含まれているカルシウムイオンとリン酸イオンが溶けた歯のエナメル質の中に戻ることで、歯のエナメル質の脱灰が自然に回復・修正されます。
しかし、再石灰化には限界があり、大きく欠損したエナメル質は再生(再石灰化)しません。
大きく穴が空いたり、欠けてしまった場合には、人工的な材料で詰め物や人工的に作られた被せ物(補綴物)で虫歯治療が必要になってしまいます。
なるべく歯のエナメル質を傷つけないように再石灰化を促すための方法をご紹介します。
- 歯のエナメル質にいい食べ物摂る (小魚など、天然のフッ素が含まれたものを食べる)
- フッ素で歯をコーティングする (エナメル質を強化する)
- ガムを噛む (口腔内の酸性を中和する働きと唾液腺の刺激で唾液量を増やす)
- 高濃度のフッ素入りの歯磨き粉で歯磨きをする
まとめ
エナメル質について、書いてきましたが、大切なことはエナメル質は歯を守っている役割を担っていることです。象牙質は大変な弱い構造で、エナメル質がなければ、過酷な口腔内では長期間健康を保つことが難しいということです。
そのため、エナメル質はものを食べて生きていく上で、失ってはいけない臓器の一つと言って過言ではありません。
ミクロん単位では再石灰化してくれるエナメル質の大規模な喪失では再生できないということを知っていただけるとこの記事を書いたことが有効であったと思えます。
人によっては人工の素材の被せ物(セラミックスなど)で十分と考えている人もいますが、神様が作り上げたエナメル小柱の構成を持ったエナメル質と人工物では、どちらが優れているかなど比べるまでもないのです。
できる限り、エナメル質を大切にいつもSMILEのある人生になるようにしていきましょう。
『SAVE THE ENAMEL』