突然ですが、歯の色のイメージは何色ですか?
下の図で、どちらの歯の色がお好みでしょうか?
歯の色といえば「白」ですよね。
歯の色は人種によっても多少異なりますが、白い歯は全人類が憧れる爽やかなイメージの象徴です。
歯の色は、歯を構成している3構造「エナメル質」、「象牙質」、「歯髄」の色から構成されているとも言えます。
最も歯の内側にある「歯髄」は、神経や血管などが集まったもので、赤い色味をしています。
その歯髄を中に収めて歯の大部分を構成しているのが「象牙質」です。象牙質は、薄黄色や褐色を帯びた黄色です。
そして、その象牙質をコーティングするような形で表面を覆っているのが「エナメル質」です。エナメル質は、乳白色に近い半透明の色味をしています。
3つの構造すべてに言えることですが、色味の大別はあるものの、人によって微妙に色合いが異なります。この色味の違いが、歯色の個人差につながるのです。
例えば、エナメル質が透明に近い色の人は、その内側にある象牙質の黄色ががよく透けて見え、少し黄色っぽい歯という印象を与えます。
それとは逆に、エナメル質が不透明で、乳白色が強い人は、象牙質の黄色があまり透けて見えず、結果的に白い歯という印象を与えるのです。
今回は、色の3要素から見る、自然で 顔にマッチする 一般的な歯の色についてフォーカスして、話を進めていきたいと思います。
一般的な「色の3要素」については、以前のブログで記載していますので、こちらをご覧ください。
色を楽しむための基礎知識 その1 https://smile-steps.com/archives/378
色を楽しむための基礎知識 その2 https://smile-steps.com/archives/385
色を楽しむための基礎知識 その3 https://smile-steps.com/archives/404
色の3要素に沿った歯の色とは (色相)
色の3要素「色相」の観点から歯を見ると、歯は黄色みと赤みを帯びた色調を持っています。
これは、構造から透けてくる歯髄と象牙質の色が影響している色調です。言い換えるとこの色味以外は基本的に、歯は色相を持たないといえます。
図に示すとおり、色相環などの中で、示されたポジションに歯の色は存在するのです。
したがって、歯が僅かに黄色みを帯びているのは自然なことであり、それは自然な美しさなのです。
最近 TVタレントや有名スポーツ選手などは、色相を全く持たない、言い換えると無彩色の真っ白な歯を見かけますが、人によっては人工的で不自然な違和感を抱く人が少なくないのです。
多分、夜 暗闇で見た人工的な真っ白な歯は、不気味でしかないと断言できます。
では、どのような白さが多くの人を引きつける魅力的で笑顔が素敵な色なのでしょう?
色の3要素に沿った歯の色とは(明度)
色の3要素「明度」の観点から歯を見ると、歯は白いイメージなので、明度は高い範囲に存在するほうがキレイに見えます。
明度が暗いと、歯は少しグレーぽく見えます。
明度の異なる歯を、1本単位で見比べるとそこまで変化がなくても、複数の綺麗な明度の高い歯列の中に1本だけグレーっぽい歯が存在すると、大変目立つだけでなく、人によってはコンプレックスとなる可能性があります。
すなわち、歯の色3要素の中で「明度」は いちばん大切な要素なのかもしれません。
色の3要素に沿った歯の色とは(彩度)
色の3要素「彩度」の観点から歯を見ると、黄色みのなど色の強さや、あざやかさ、色の濃さの度合いにより色調の違いがあります。色の3要素の中では、明度や色相ほど大きな要因にはならないものとなります。
透明度(Translucency)
色の3要素に加えて、歯の色を理解する中で大切な要素として「透明度」があります。
歯のエナメル質は、象牙質や歯髄とは異なり、透明性を持っているのです。透明性は、歯の色に深みや立体感を与えるため、エナメル質に透明性があることが、歯を美しく見せていると言っても過言ではありません。
ただし、エナメル質全体に透明性があるわけではありません。
また、透明度も程度があり、個人差もあるのです。ガラスのような「完全な透明」と、擦りガラスのような「半透明」、僅かしか透明度のないエナメル質や「不透明」なエナメル質もあるのです。
一般的には、エナメル質の透明度は、歯の歯頚部から切縁に向かって高くなる傾向があります。
口の中は光が届かないため、歯の裏側を色で表すと「真っ暗な 黒」です。そのためエナメル質の透明度が高すぎると、歯の裏側の黒色を拾い上げてしまうため、歯の色がグレーっぽくなってしまうことがあります。すなわち、歯の白さが損なわれてしまうのです。
まとめ
今回は、歯の色調について、自然な色調の歯とは どのようなものなのかについて、ご理解いただけたと思います。
歯には、歯を構成している「エナメル質」「象牙質」「歯髄」があり、この構成により色がミックスされて見えているということなんです。
自然な歯は、無彩色の真っ白な色(便器のような白さ)ではなく、わずかにオレンジがかった黄色みを持った有彩色で、明度が高いことで 歯の色のイメージが「白」となっているのです。さらに適度なバランスで切縁側に透明感があることで、立体的で美しいナチュラルな歯だと認識されるのです。
皆さんの歯が、自然な歯の色を持っているかどうか、鏡を見て確認してみましょう。